オーストラリアで働くと、聞きなれない雇用形態やルールが多く存在します。
今回はオーストラリアで働くなら知っておきたい雇用制度について、オーストラリア在住3年目の私の経験を踏まえて紹介します。
※2024年8月現在の情報です。
オーストラリアの雇用形態 – 基本的な3つ
オーストラリアには、主にフルタイム(Full-Time)、パートタイム(Part-Time)、そしてカジュアル(Casual)という3つの主要な働き方が存在します。
フルタイムとパートタイムは日本と似たようなものですが、カジュアルはオーストラリア特有の雇用形態となります。
1. フルタイム雇用
オーストラリアのフルタイムは、日本でいう正社員みたいなものです。
フルタイムの概要
・労働時間:週に約38時間(業界や契約内容によっては異なる場合もあります。)
・勤務日数:週5日が一般的です。
・有給休暇:4週間/年(シフトワーカーは5週間)
・病気休暇(シックリーブ):約10日間
・Superannuation という国が定める年金が給料の11.5%積み立てられる
※シックリーブは、風邪引いたり体調が悪い際に休んでも給料が支払われる制度です。(仮病で使っている人もいます笑)企業によってはドクターの問診書を見せるように言われるところもあるみたいですが、基本問診書がなくても使えます。
※ Superannuationは国が定めるオーストラリアの年金制度のことです。
日本同様に、祝日も休みでも給料が支払われます。オーストラリアの労働法であるNational Employment Standards (NES) で定められたすべての権利が保証されます。
2. パートタイム雇用
オーストラリアのパートタイム雇用は、日本でいうところのアルバイトや契約社員に近い働き方です。フルタイムのように週に38時間働くのではなく、通常はそれよりも少ない時間を働きます。
パートタイムの概要
・勤務時間:週に通常20時間以下(業界や契約内容によっては異なる場合もあります。)
・勤務日数:週3~4日が一般的です。
・有給休暇:勤務時間に応じて比例配分される
・病気休暇(シックリーブ):勤務時間に応じて比例配分される
・Superannuation という国が定める年金が給料の11.5%積み立てられる
パートタイムは、働く時間を調整しながら有給休暇や病気休暇などの福利厚生も受けたい方に適した働き方です。
3. カジュアル雇用
カジュアルはオーストラリア特有のもので、定期的な勤務時間が保証されておらず、雇用期間も不確定であることが特徴です。カジュアル労働者は、通常の労働者よりも高い時給(カジュアル・ローディング)が支払われますが、有給休暇などの権利はありません。
カジュアルの概要
・勤務時間:決まった時間はなく、雇用主の必要に応じて働く
・勤務日数:不定期、短期的なシフトが多い
・有給休暇:なし
・病気休暇(シックリーブ):なし
・Superannuation という国が定める年金が給料の11.5%積み立てられる
・時給15-25%高め
突然シフト削られたり、雇用主の都合でクビにされれしまうのがカジュアルです。
カジュアルで採用されたとしても、自分のパフォーマンスが悪いとシフトに入れなくなり、すぐに切られるのが現状です。なので、カジュアルは採用されて安心するのではなく、採用されてからが勝負です!
個人事業主なら知っておきたい!ABNとは?
これまで紹介した3つ以外にも、会社によっては「フリーランスとしてお願いします」「ABN持ってますか」と聞かれるところがあります。ABNについても簡単に説明します。
ABNとは?
ABNとは、Australian Business Numberの略で事業者識別番号のことです。個人事業主や企業がビジネスを行う際に必要な番号です。
ウーバーイーツのドライバーやフリーランスはこのABNが必要です。
注意点として、ABNで働くというのは、フルタイムやパートタイムのように有給やシックリーブ、そしてSuperannuationもありません。
そして、自営業者(contractor)としての扱いになるため、労働法の適用範囲が異なり、雇用主による最低賃金の保証や、職場での権利保護が受けられない可能性があります。ABNを求められた際には、条件が適正かを慎重に確認することが重要です。
私自身、日本語を教える仕事に応募した時に「ABNでお願いします」と言われたのですが、後でパートナーに「それって、有給とか年金を払いたくないってことだよ」と言われたのを思い出します。。。
ABNはオーストラリア政府の公式ウェブサイト「Australian Business Register(ABR)」を通じて取得できます。オンラインで簡単に申請でき、多くの場合、申請が完了してすぐにABNが発行されます。
まとめ
以上、オーストラリアの雇用形態について簡単に説明しました。
私自身、オーストラリアに来た当初はわからないことだらけで、「もっとこの制度早く知っておきたかった」と思うことがたくさんありました。
これからオーストラリアで働く人の参考になれば幸いです。
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