【節税】オーストラリアの税金控除 Tax Offsetsって?どんな種類がある?

前回のオーストラリアのタックスリターンの基本についての記事を書いた際にXにて「Tax Offset(税額控除)も追加するといいですよ」とコメントをいただいたので、まとめていこうと思います!

オーストラリアには様々な税金控除があります。

私は今回、調べてみて自分に適応されるものがあり「そんな制度があったんだ!」とし少し感心しました。

あなたももし条件が合えばタックスリターン時に税金控除が適応されるかもしれません!

「タックスリターンって何?」「オーストラリアの所得税って何%?」って方は以下の記事をご参考ください。

今回は、そんなTax Offsetについて詳しく見ていきます。

目次

Tax Offset(タックスオフセット)とは?- 基本

Tax Offsetとは、簡単に言えば「税金の割引」のようなものです。支払うべき税金の額を直接減らすことができる仕組みで、日本の「税額控除」に似ています。

オーストラリアでは所得に対して一定の税金がかかりますが、もしタックスオフセットの対象であれば、条件によって一定額が控除され、最終的に支払う税金が軽減されます。

例えば収入に対し、$1,800の所得税を支払う予定がTAX OFFSETが$1,000適応されることにより、最終的に支払うTAXは$800となり、TAX Return時に払いすぎた額が戻ってくることになります。

では、どんな条件の人がこのOFF SETを使えるのか詳しく見ていきます。

主なTax Offsetの種類

オーストラリアで利用できるTax Offset(税額控除)にはさまざまな種類があります。主なタックスオフセットを簡潔に説明します。

TAX OFFSETの種類により自動で控除されるもの申請が必要になるものがあります。

※2024年10月現在の情報です。

1. Low Income Tax Offset(LITO)– 低所得者向け控除

こちらは低所得者に適応される控除で、Tax Return後に自動で適応される制度です。

  • 対象: 課税所得が$37,500〜$66,667の範囲内の場合
  • 最大オフセット額: $700
  • 適用条件: 課税所得が$37,500以下の場合、最大額が適用され、所得が$45,000に近づくにつれて減額されます。$66,667を超えると適用されません。
  • 特徴: 低所得者層の税金負担を軽減するためのオフセットです。
課税所得控除額
$37,500 以下$700の控除
$37,501 と $45,000の間$700から$1毎に5セント引かれていく
$45,001 と $66,667の間$325から$1毎に1.5セント引かれていく

課税所得が$45,000を超える金額:
$55,000 – $45,000 = $10,000

LITOの減額:
$10,000 × 0.015 = $150(減額される金額)

最終的なLITOの計算:
$325(最大LITO) – $150(減額分) = $175

結論、年収が$55,000の場合、$175が自動で控除されます。

※最新情報や詳細はATOのLITOのページをご覧ください。

2. Senior Australians and Pensioners Tax Offset(SAPTO)– 高齢者向け控除

こちらはシニア65歳以上に適応される控除で、年金受給状況に応じて自動的に適応されます。

  • 対象: 年金受給者やシニア(65歳以上)の独身$50,119未満, 配偶者いる場合は合計$83,580以下
  • 最大控除額: $2,230(シングル)、$1,602(パートナーあり)
  • 適用条件: 年金受給者や65歳以上のシニアが対象。所得の合計額によって減額されることがあります。
  • 特徴: シニアや年金受給者の税金を軽減します。

※最新情報や詳細はATOのSAPTOのページをご覧ください。

3. Zone Tax Offset(ZTO)– 遠隔地に住む人向けの控除

こちらはオーストラリアの都市部から離れたアクセスの悪い遠隔地に住む人向けの控除です。

  • 対象: リモートエリア(遠隔地)に住む人
  • 最大オフセット額: $1,173
  • 適用条件: 特定のリモートエリア(Zone A、Zone B、Special areas)に183日以上住んでいることが条件。
  • 特徴: リモートエリアに住むことで生じる追加コストに対する税額控除。
  • 年収の制限なし

ZoneについてはAustralian zone listでチェックできます。

Zone控除額
Special Areas$1,173
Zone A$338
Zone B$57

ちなみに私は現在QLD州にある秘境地に住んでいるのですが、調べてみたところなんとSpecial areasに該当することがわかりました!!最大の控除を受けることができます…!

秘境地に住むとスーパーの商品の値段はだいたい都市部の2倍移動もかなり大変なのでこの控除はありがたいです。

こちらはリモートエリアに住んでいることを証明する申請が必要となります。

※最新情報や詳細はATOのZTOのページをご覧ください。

4. Foreign Income Tax Offset – 海外で所得税を払った人向けの控除

こちらはオーストラリア国外で所得税を支払った人向けの控除です。

  • 対象: 海外で所得税を支払った人
  • 適用条件: 海外で所得税を支払っており、その所得がオーストラリアでも課税対象となる場合。
  • 特徴: 二重課税を防ぐため、海外で支払った税金額をオーストラリアの税額から控除できます。

日本はオーストラリアと二重課税防止協定を結んでいるため、二国間で同じ所得に対して重複して課税されることを防ぐためにのオフセットが適用されます。

例えば、日本で税金$2,000払い、オーストラリアでも税金$6,000払った場合。
Foreign Income Tax Offsetでは、オフセットできる額は少ない方の額になります。
つまり、オーストラリアで支払うべき税金$6,000から、日本で支払った$2,000を差し引いた$4,000が最終的にオーストラリアで支払うべき税額となります。

こちらは、海外で$1,000を超える所得税を支払った場合、証拠書類を提出しオフセットを申請する必要があります。

※最新情報や詳細はATOのClaiming a foreign income tax offsetのページをご覧ください。

5. Medical Expenses Tax Offset(医療費税額控除)

こちらは、介護が必要な人や障害があって必要な補助具を購入する際に適応される控除です。

  • 対象: 特定の医療費を支払った人
  • 適用条件: 長期的な介護や特定の医療費が発生した場合に限り適用。
  • 特徴: 2020年以降、ほとんどの医療費は対象外となっています。

医療費控除の対象となるもの
– 障害者補助具
– 介護
– 高齢者介護

申請が必要なため、レシートなどを保持しておく必要があります。

日本だと高額な医療費に対しての控除が幅広く適応されますが、オーストラリアでは特定の対象のみでしか適応されない内容となっています。

※最新情報や詳細はATOのMedical expenses tax offsetのページをご覧ください。

6. Private Health Insurance Rebate(民間医療保険に加入している人向け控除)

こちらはBupaやMedibankなどの民間保険に入っている人が保険料の一部を控除として申請できる制度となります。

  • 対象: 民間医療保険に加入している人
  • オフセット額:年収や年齢によって異なる。例:年収$93,000以下の場合は控除率が24.608%

例えば、28歳で年収$50,000 、Bupaに保険料月$500(年間$6,000)を払っている場合
年収$93,000以下の場合は控除率が24.608%となるので、計算すると:
控除額 = 保険料$6,000 × 控除率0.24608 = $1,476.48

よって$1,476.48が控除額となります。

※最新情報や詳細はATOのPrivate health insurance offsetのページをご覧ください。

7. Superannuation Contributions Tax Offset(年金拠出税額控除)

こちらはパートナーの年収が$37,000以下の際、自分が代わりにSuperannuationを払ってあげると最大$540が控除される制度です。

  • 対象: 配偶者のスーパーアニュエーション(退職金)に拠出した人
  • 最大オフセット額: $540($3,000の拠出額に対して控除率18%)
  • 適用条件: パートナーの年収が$37,000未満で、あなたがパートナーのために拠出した場合。
  • 特徴: 配偶者の年金拠出を支援するための税額控除。

※最新情報や詳細はATOのSuperannuation-related tax offsetsのページをご覧ください。

8. Franking Credits(フランキングクレジット)

こちらは厳密にはTax offsetではないですが、オーストラリアにはオーストラリアの企業に投資した際の配当金に対して適用される税制があります。

  • 対象: オーストラリアの企業に株式投資した際に配当を受け取った場合
  • 適用条件: フランク配当(会社がすでに課税した利益から支払われる配当)を受け取っている場合、その配当から支払われた税金分がオフセットされます。
  • 特徴: 会社がすでに支払った税金を個人の納税額から控除するため、二重課税を防ぎます。

自分の所得税よりも企業が多く法人税を支払っていた場合、払いすぎた分が戻ってきます。

こちらはオーストラリアの企業の投資の配当金のみに対して適応されるので海外の企業の配当には適用されません。

※最新情報や詳細はATOのFranking creditsのページをご覧ください。

まとめ

以上、主なTax Offsetsの種類について紹介しました。

オーストラリアの税制度は、低所得者や障がいのある人、遠隔地に住む人などいろんな状況下において税軽減されるようになっていて、「さすがフェアネスを重視する国だな」と思いました。

調べてみるといろんな控除があって、自分が該当するもので申請が必要なものはTAX Return時に忘れずに申請しようと思いました。

以下まとめです。

TAX OFFSET の種類概要
Low Income Tax Offset(LITO)低所得者向けに、税額を軽減するための控除。
Senior Australians and Pensioners Tax Offset(SAPTO)年金受給者や高齢者に対して、税負担を軽減するための控除。
Zone Tax Offset(ZTO)リモートエリアに住む人に対して、税負担を軽減するための控除。
Foreign Income Tax Offset 海外で支払った所得税をオーストラリアの税金から控除できる制度。
Medical Expenses Tax Offset高額な医療費に対して、税金を軽減するための控除。(現在は限定的)
Private Health Insurance Rebate民間医療保険に加入している人に対して、保険料を減額するための税額控除。
Superannuation Contributions Tax Offset配偶者の年金口座に拠出した金額に対する税額控除。
Franking Credits企業が支払った法人税を株主に還元し、二重課税を防ぐための税制優遇措置

「詳しく知りたい」という方はATOのTax offsetのページをご参照ください。
(私は専門家ではないので、アドバイスや質問はお受けしておりません。)

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