オーストラリアの先住民と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは「アボリジニー」という人が多いかもしれません。しかし、オーストラリアにはもう一つの重要な先住民族がいます。
それが、トレス海峡島民(Torres Strait Islanders)です。
正直私は、ケアンズに引っ越してくるまで、Indigenous people (インディジナス ピープル、先住民を表す言葉) = アボリジニーと思っていたのですが、トレス海峡島民という民族もいるということをはじめて知りました。
オーストラリアのケアンズに住んでいた頃、アボリジニーの国旗の隣にトレス海峡島民の国旗が貼ってある車をよく見かけ、パートナーに「あの国旗何?」と聞いた時に彼らの存在を知りました。
実際にケアンズにはトレス海峡島民が住んでおり、彼らをスーパーで見かけることもありました。オーストラリア人パートナーから「見た目はアボリジニーと似ているけど文化や振る舞いは違うんだよ」と聞き、気になったので具体的にどんな民族なのかまとめてみることにしました。
トレス海峡島民とは?
トレス海峡島民は、オーストラリア本土とパプアニューギニアの間に位置するトレス海峡諸島に居住する人々です。
トレス海峡島ってどこ?
トレス海峡諸島は、オーストラリアのヨーク岬とパプアニューギニアの間にあるトレス海峡に位置しています。
「日本から1番近いオーストラリア」とも言われているそうです。
この諸島には約274の島々がありますが、そのうち17の島に人々が住んでいます。
トレス海峡島民の文化と生活
トレス海峡島民の文化は、海と深く結びついています。彼らは漁業や農業、そして航海術に優れ、これらの活動が生活の基盤となっています。
社会的には、親族関係が非常に重要視されており、コミュニティの結束力が強いのも特徴です。
また、音楽や踊りも豊かで、羽根や貝殻で装飾された衣装を身にまとって行われる伝統的な踊りは、特に有名です。
トレス海峡島民とアボリジニーの違い
アボリジニーとトレス海峡島民は、共にオーストラリアの先住民ですが、その文化や歴史には大きな違いがあります。
文化の違い
アボリジニーはオーストラリア大陸全域に広がっており、土地や自然との深い結びつきが特徴です。これに対して、トレス海峡島民は主に海洋文化を基盤とし、メラネシア(西南太平洋のメラネシアに住む人々)の影響を強く受けています。
また、言語にも違いがあります。アボリジニーは数百の異なる言語を持ちますが、トレス海峡島民はトレス海峡クレオール語(Torres Strait Creole)やメリアム語(Meriam Mir)を話します。これらの言語は、島ごとに異なることも多く、その文化的多様性を反映しています。
振る舞いの違い
ケアンズの現地の人に聞いた話によると、アボリジニーはアボリジニー同士でよく喧嘩する傾向があるのに対し、トレス海峡島民はおだやかな感じな人が多いと聞きました。
現代のトレス海峡島民
オーストラリアではQLD州北に住んでいる
現代において、トレス海峡島民はオーストラリア本土にも多く移住しています。特に、クイーンズランド州北部のケアンズやタウンズビルには大規模なコミュニティが存在します。彼らは本土に移住しても、トレス海峡の文化や伝統を大切にしており、これらの文化を次世代に伝え続けています。
島の方は海面上昇による危機
しかし、トレス海峡島民は気候変動の影響を強く受けています。海面上昇により、彼らの住む島々が危機にさらされており、コミュニティの移転を余儀なくされる可能性がでてきています。このような状況に対して、トレス海峡地域機関(Torres Strait Regional Authority)を中心に、地域の保護や文化の継承に向けた取り組みが進められているそうです。
まとめ
以上、トレス海峡島民について簡単に説明しました。
特にケアンズやタウンズビルに住む人はオーストラリアの先住民を語る上で、トレス海峡島民について知っておくと、ニュースや現地の人との話題などが理解しやすいかなと思います。
トレス海峡島民やオーストラリアの先住民について疑問に思っていた人の参考になれば幸いです。
コメント